抄録
現在、自動車交通は大気汚染や騒音、交通事故といったいわゆる外部不経済の問題をもたらしており、その抑制のための各種政策が提案・実施されている。しかし、それらの政策の導入は、外部不経済を抑制する一方、種々の社会経済活動に対して費用負担の増加を求めることになり経済的便益の損失をもたらす。そこで、本研究では、運輸部門と自動車関連産業を明示化した応用一般均衡モデルの開発を行い、外部不経済抑制策実施に伴う経済影響を評価する方法を確立した。本モデルは、各種交通手段の機関分担まで考慮している点で政策の影響を直接受けるであろう運輸部門に関する詳細かつ正確な評価が行え、さらに運輸以外の産業に対する波及影響まで含めた経済影響評価が可能となる。また、本モデルを適用し、自動車燃料税を増徴させた場合の経済影響評価を実際に行った。