抄録
本研究では、道路、鉄道、航空からなる高速交通体系における1960年以降の整備変化について、旅行時間と費用に着目して分析を行い、どのようなサービス水準の向上があったのかを交通機関の利用者の時間価値に基づいて明らかにするとともに費用差時間差比指標を用いて評価を行った。その結果、道路と鉄道の比較では、この指標は激しく変動し互いに影響を及ぼしやすいことがわかった。鉄道と航空を比較した場合には、費用差時間差比が全体的に低下しており、航空が有利になる傾向がみられた。一方、都市部と地方部を比較してみると、同じ交通機関でも地域によって利用者の選好比率に大きな差があり、高速交通サービスにおける地域間格差の存在が浮き彫りにされた。