1997 年 14 巻 p. 107-114
本研究は、地域イメージ構造の計量的把握のための分析手法を開発することを念頭に置き、鉄道沿線の構成地物の言語イメージに基づく知覚マップ手法 (LOGMAP) の適用性を検討する研究として位置づけられる。ここでは、言語イメージのうち普通名詞と固有名詞に着目することにより、LOGMAPで用いるイメージ連結図および属性軸上の空間付置における差異から鉄道沿線イメージの構造的特徴 (沿線の個性・固有性) を把握する方法を検討する。その結果、具体的なケースとして取り上げた阪急と近鉄の沿線イメージを『やぼったい-おしゃれな』属性軸で評価した場合、各沿線ごとに代表的な地物を普通名詞及び固有名詞の各々について見い出すことができ、また『山』、『川』、『駅』などは各沿線のイメージの特徴を表わすような属性軸上のポジショニングがなされていること、そしてそれらとイメージ連結図との関係にも言及でき、本手法の有効性を確認できた。