1997 年 14 巻 p. 487-496
都市機能充実と関連づけられた都市景観秩序の再構成は、現在の都市計画者にとっての一つの重要課題である。本稿では、19世紀のパリ大改造が機能と景観を考慮した、壮大な歴史都市の社会基盤整備だったという見地にたち、その実体について考察している。そして、フランス産業化時代初期の都市に関する社会思想 (都市の再生計画における、交通・衛生・景観の融合的改善) や、計画・設計思想 (都市の歴史的なものの価値の相対化、都市形態秩序感覚の変容) を概観した上で、それらと関連するいくつかの整備事例を分析している。