第2次世界大戦後にアジア諸国が採った工業化促進戦略は押し並べて成功している。これらの諸国では経済成長の帰結の一つとして地域格差の拡大に悩まされていることも事実である。こうした地域格差は開発途上国が戦略対象として誘致した先進企業がその国の中でも比較優位の特定地域に集中した局地化現象に因る所が大きい。アセアン諸国の中でも、特に、マレーシア、タイ、インドネシアおよびフィリピンではこの企業立地の局地化現象が顕著である.本研究ではこの現象に着目し、開発途上国政府が地域格差是正のために採用した製造業地方分散化政策について検討し、その過程で運輸基盤整備が地域開発に果たす役割の評価も試みる。