抄録
今後の水資源計画においては, 新規開発のみでなく, より有効な用途への水資源再配分の必要性がより高まると考えられる. その場合, 既存の利用者と新規の参入者の間での調整が不可欠となる. 費用・便益の配分はその一手段と考えられる. しかし特に計画・調整プロセスの初期段階においては, プレイヤーの発生事象に対する選好順位が明確でないことが多い. 本研究では, このような状況をゲーム理論に基づきモデル化し, 計画調整主体が代替案の安定性を保障する最小限の条件を特定するための逆解析的手法として提案されたロバストネス分析手法を拡張し, 水力発電と河川環境を巡る電力事業者と地方自治体との間のコンフリクトに適用した.