抄録
著者らはこれまで、散歩行動実態調査に基づいて、散歩者の行動実態、散歩行動分類、散歩経路の道路特性を分析してきたが、本研究では引き続き、散歩経路の利用構造について分析を行った。 その結果、(1) 散歩経路においては沿道に自然の要素が豊かな道が選ばれており、道路の選好の傾向は多くの散歩行動グループに共通であること、(2) 経路形状要素のうち環状路は主に川沿いの道を中心に、立寄路は野原や田畑・農園沿いの道を中心に、出発路・接続路は市街地の道を中心に構成されていること、散歩行動分類によって散歩距離は大きく異なり、散歩距離は環状路の歩行距離と正の相関関係にあること、(4) 散歩経路は環状路と往復路がそれぞれ1本づつで構成された形状をしたものが中心である、などを明らかにすることができた。 最後に、これらの分析結果に基づいて、散策路の整備指針の提案を行った。