2001 年 18 巻 p. 581-586
運転中のドライバーは互いの意思疎通の不可能性を克服するため, クラクションなどによる合図を慣習的に用いる. このような “カーボディーランゲージ” の一つである「パッシング」はドライバー間に「道を譲る」, 「危険を知らせる」という相反する2つの認識で存在し, そのことが時として事故の危険を高めてしまうと考えられる. 本研究では, 違う認識を持ったドライバーが道路ネットワーク上でパッシングのやり取りと認識に関する学習を繰り返した結果, 長期的にドライバー社会にどの認識が定着するか, あるいは複数の認識が共存するならばどのような状態になるのかをモデル分析ならびにシミュレーション分析により明らかにする.