土木計画学研究・論文集
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18 巻
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  • 谷口 栄一
    2001 年 18 巻 p. 1-16
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は, 都市において, 環境, 渋滞, エネルギー消費などを考慮しながら物流の効率化を図るための方策として, シティロジスティクスの考え方を提案している. ここでは, シティロジスティクスに関する基本的な概念, シティロジスティクスの施策およびその例について述べている. また, シティロジスティクス施策を評価するために, 集配トラックの配車配送計画, 物流ターミナルの最適配置などについてモデル化の手法を解説している. さらに, 都市物流計画に関する将来展望を示している.
  • 小野田 滋
    2001 年 18 巻 p. 17-24
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は、わが国最初の高架鉄道として1904 (明治37) 年に開業した総武鉄道 (現・JR総武線) 両国-錦糸町間を対象とし、その計画から実現に至る経緯を鉄道会議議事録や市区改正委員会議事録、許認可関係文書など、主として当時の公文書に基づいて明らかにした。その結果、総武鉄道には資金難のために地平線へ変更する代替案があり、地域住民は交通渋滞の原因になるとしてこれに反対していたことなどが明らかになった。また、この事業に対して鉄道会議や東京市区改正委員会がどのように関与していたかが把握され、高架鉄道の実現が一鉄道企業の論理ではなく、地方行政や地域住民の合意を経ながら計画的に実施されていた経緯を示すことができた。
  • 原口 征人, 日野 智, 今 尚之, 佐藤 馨一
    2001 年 18 巻 p. 25-32
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    北海道大学の前身にあたる札幌農学校は日本近代土木教育の黎明期から、北海道の開拓に資する土木技術者の養成を指命として教育がなされてきた。しかしその道程は安泰ではなく、明治20年代後半に文部省の方針から一旦廃止されている。著者らはその後の札幌農学校の土木教育について経緯をまとめてきたがそのなかで、北海道の鉄道関係部署と札幌農学校の結びつきの強さを認識した。
    本研究では、土木教育機関の社会的な結びつきと生き残りをかけた個性化のモデルとして、札幌農学校と鉄道事業の連綿としたつながりを追う。そして特に、人事上の交流から、実務的な問題意識が形成されていった過程に着目し、今日の土木工学教育機関の戦略について考察する。
  • 石田 健一, 山中 英生, 山本 道広
    2001 年 18 巻 p. 33-39
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究はPI手法の立案や、PI型公共事業での集団意思決定の方法のひとつとして、海外援助プロジェクトで利用されているPCM手法の応用を検討することを目的としている。
    本稿ではまず香川県大内白鳥バイパス計画を題材にPCMワークショップを導入してPIプロジェクトを立案し、PCM手法活用の有効性について確認した。さらに、専門家によるPCMワークショップ形式により問題整理を行い、PCM手法の利点および課題について、明らかにした。
  • 宮本 善和, 道上 正規, 喜多 秀行, 檜谷 治
    2001 年 18 巻 p. 41-47
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、流域連携による取組みの有効性や課題点について整理するとともに、課題点の構造分析を通して流域連携の支援機能を明らかにした。まず、流域連携に関連する諸分野の学識・有識者と、先駆的な試みを行っている流域のキーパーソンに対して行われたヒアリング結果から得られた意見を整理し、流域連携の有効性として3点を確認した。次に、流域連携の課題点についてISM法を援用して構造分析を行い、根幹的な課題点と課題解決の具体方策を明らかにした。そして、得られた具体方策を流域連携を支援する機能面から分類・整理し、9つの支援機能とその要件、及び機能連関を明らかにした。
  • WTPとWTWの比較
    大野 栄治
    2001 年 18 巻 p. 49-55
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, CVMにおいて支払意思額WTPに代わる新たな支払形式が必要であるとの問題意識より, 著者が発展途上国における公共事業の便益評価のために提案した奉仕労働量WTWによる評価方法を採用し, 北海道静内町を流れる古川の河川環境整備事業の便益評価を通じて, WTPとWTWによる便益評価の違いを比較・検討した. その結果, WTPによる評価よりもWTWによる評価の方が比較的安定した平均値を得られることがわかった. また, WTPの平均値や中央値で評価すると, 不満を表明する人数がWTWのそれに比べてかなり多くなり, 住民投票になったときにプロジェクト評価の結果とは逆の結果になる可能性が高くなることがわかった.
  • 柿本 竜治, 前川 友宏
    2001 年 18 巻 p. 57-64
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 自然型観光地である阿蘇火口・草千里地域の来訪者がこの地域での観光・レクリエーション活動から享受している環境質の利用価値の計測を行うことを目的とする. 阿蘇火口・草千里地域の訪問者が, この地域に抱く利用価値をCVMにより評価し, その評価値をTCMによる評価値を利用してチェックすることで, CVMによる評価値の信頼性の確保を試みる.阿蘇火口・草千里地域の訪問者の環境保全金としての入場料金への支払意志額は, CVMの評価では概ね1, 200円程度となった. TCMでは, 1, 322円から7, 227円の範囲内の評価値が得られた. 一般に環境が悪化する場合には, 消費者余剰は補償余剰より大きくなることを考慮すると, 本研究でCVMによって得られた入場料金への支払意志額約1, 200円は, 妥当な金額であると言えよう.
  • 足達 健夫, 石田 宜久, 萩原 亨, 賀屋 誠一
    2001 年 18 巻 p. 65-71
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    従来道路整備において行われてきた公共投資の便益評価は、旅行時間減少便益や走行費用減少便益などの道路利用者便益を中心とした計測にとどまっているのが現状である。しかし北海道のような広域分散型の地域では、生活交通により大きな不確実性がともなうため、通勤・買物や通院・救急搬送のために近隣の都市への交通基盤が確保されているという安心感は重要である。そこで本研究ではCVMを用い、生活の質や満足感、将来に備えた安心感といった効果を考慮した交通基盤整備評価を行った。その結果、予定ルートからより離れた遠隔地域住民のほうが、沿線地域よりも高い支払い意志を示し、沿線地域では救急搬送の有無、遠隔地域では都市的サービス頻度に対する感度がとくに大きいことなどが明らかになった。
  • 岡 真紀子, 土井 健司
    2001 年 18 巻 p. 73-79
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在, 路上工事の影響を縮減する種々の施策が講じられているが, 各施策の効果は必ずしも明らかにされておらず, それゆえ費用対効果の観点から既存の工事運営方法については検討の余地が大きいと思われる. 本研究では, 工事の社会的影響のうち特に渋滞による道路利用者の時間損失に着目し, 夜間工事現場の実態調査から道路利用者の遅れ時間損失を測定し, 都内の主要国道における工事渋滞費用のオーダーを示した. これは工事の社会的費用の一部に過ぎないが, 事業者の単独工事費用の2割程度に相当するものである. これを事業者に負担させるという試案に基づき, レーンレンタルシステム等の導入が事業者の意志決定に及ぼすであろう影響を考察した.
  • 石田 東生, 三浦 裕志, 岡本 直久, 古屋 秀樹
    2001 年 18 巻 p. 81-88
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, カーナビゲーションシステム等の高度情報機器を備えたプローブカーによる道路走行速度調査において必要となるサンプル抽出率の検討を行う. 検討に当たり高度情報機器から得られたデータを使用することができないため, 道路交通センサス等の既存データから道路ネットワークデータやプローブカー特性データを再現することを試みた. 必要抽出率については, 再現されたデータを用いたシミュレーション結果を基に検討を行った.
    本研究の結果から, 日交通量3-5万台の道路においては抽出率0.1%で日中1時間毎の観測が可能となること, 日交通量5万台以上の道路や高速道路ではより多くの抽出率が必要であること, 一般県道ではピーク時や日中は1時間毎の観測のために10%以上の抽出率が必要であること, 等が明らかになった.
  • 谷本 圭志, 喜多 秀行, 三ッ国 篤志
    2001 年 18 巻 p. 89-95
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年の公共事業では, 住民の間で合意形成を図るケースが見られる. その際, 我が国の国民性の特徴として, 自らが選択する意見と他の住民の発言する意見との相違に起因する不安感に基づく「場の雰囲気」に依存して住民が意見を発言しうる場合があると考えられる.雰囲気によって自らの意見を発言しうる場合, 合意形成によって集約された住民の意見は必ずしも住民の真意を反映したものとならない可能性がある. そこで本研究では, 合意 形成の場における雰囲気の形成メカニズムを進化論ゲームを用いてモデル化するとともに, 住民が真意を発言する状況をもたらすために合意形成の場の運営者が講じうる方策について取り上げ, その導入の効果分析を行う.
  • 田村 謙介, 小林 潔司
    2001 年 18 巻 p. 97-107
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 将来需要や道路舗装の劣化過程に不確実性が含まれることを前提として, 道路舗装の期待ライフサイクル費用を最小にするような最適補修ルールを求める方法を提案する. その際, 補修戦略の分割不可能性に配慮して, モンテカルロシュミレーションにより補修ルールを求める方法を提案し, シミュレーションの効率化の方法についても考察した. さらに, ケーススタディを行い提案した方法論の有用性を示している.
  • 家田 仁, ファン レ ビン, 柴崎 隆一
    2001 年 18 巻 p. 109-114
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    各種交通施設の費用対効果分析における利用者便益について, 経路選択モデルとしてロジットモデルを使用する場合, リンクの効用が確率的に変動するため, リンク別の内訳を算出することができない. そこで本研究では, あるリンクを実際に利用した人のみの効用を集計した, 当該リンクの事後的な効用に着目し, 各リンクの便益の総和と最大期待効用の総和がそれぞれODベースの便益と最大期待効用に一致するという条件のもとに, リンク別の利用者便益を近似的に算出する方法を提案した. この方法を仮想ネットワークに適用することにより, あるリンクの改良や新設プロジェクトにおいて, 投資がなされたリンクとその他のリンクの利用者便益を試算した.
  • 岸 邦宏, 山平 秀典, 佐藤 馨一
    2001 年 18 巻 p. 115-121
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、包絡分析法 (DEA) におけるウインドー分析法により、経営と利用の観点から我が国の地下鉄事業を評価することを目的としている。DEAを適用することにより、厳しい経営状況下で、どの事業体が最も効率的に経営を行っているか、また都市交通においてどの事業体が最も効率的に乗客を輸送しているかを明らかにした。またウインドー分析法によって、時系列分析も行った。これらの分析結果をもとに各事業体の改善のための数値目標を提示した。
  • 青野 貞康, 室町 泰徳, 原田 昇, 太田 勝敏
    2001 年 18 巻 p. 123-128
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、交通行動調査におけるコンピュータベース調査の開発とその有効性の検討を目的としている。コンピュータベース調査の特徴の整理した上で、GIS機能を組み込んだコンピュータネットワーク対応型の交通行動調査システムを開発し、買物時の交通手段選択に関するSP調査に適用した。調査票調査によるデータと比較する形で交通手段選択モデルへの適合性を検討したが、モデルの説明力に関しては調査票調査に劣る結果となった。一方で、仮想代替案に対する現実感など、調査システムに対する被験者の評価がモデルの説明力に影響を与えることが明らかとなり、今後同様のシステムを開発する上での重要な示唆となった。
  • 盛 亜也子, 鈴木 聡士
    2001 年 18 巻 p. 129-138
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、参加型まちづくり計画等において意識調査分析が多数行われている。そしてAHPはその一つの有効な手法として注目されている。しかし、この手法は評価要因等が多数となった場合、被験者の評価負担が増大する等の問題がある。
    そこで本研究はAHPの新しい手法として、被験者の評価負担を軽減することが可能な「相対位置評価法」を新たに提案した。そしてこの手法を用いて、AHPアンケート経験者・未経験者を被験者としたアンケートを実施した。その結果、両被験者において絶対評価法と相対位置評価法の評価結果に高い相関性があることを実証した。
    また、ワークショップにおける相対位置評価法を活用した集団合意形成支援方法を提案した。
  • 山崎 元也, 本郷 廷悦, 今村 博, 比屋根 一雄, 飯尾 淳, 谷田部 智之, 加賀屋 誠一
    2001 年 18 巻 p. 139-148
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    道路線形設計の効率化のため, パソコン上の道路設計CAD (コンピュータ支援設計) を利用する方法が主流になりつつある. しかし, 現在の道路設計CADには, 設計者が与える制約条件に対し, いろいろな道路線形をシミュレーション (模擬実験) できる機能がない. 筆者らは, パソコン上で短時間にシミュレーションを行え, 最適に近い道路縦断線形を探索できるプログラムを開発した. このプログラムにより, 道路設計CADの操作の専門的技能がない人や縦断線形設計の経験が乏しい人でも効率的に道路縦断線形設計を行うことが可能になる. この最適化手法は, 現在研究中の道路計画の最適化システムにおいて, 基礎的な手法となるものである
  • 高瀬 達夫, 森川 高行, 脇 昌央
    2001 年 18 巻 p. 149-154
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    これからの社会資本整備事業においては, アカウンタビィリティが重要視されつつあり, そのためにはより精度の高い事業効果計測法が必要となってくる. 本研究は, 従来の手法では空港整備に伴う誘発交通を明示的に考慮できないことや地域間旅客への波及効果を考えていないこと等の問題点を考慮し, 手段選択・目的地選択モデルに発生集中モデルを統合した形で, 地域間の旅客需要を包括的に表した統合型需要モデルを構築した. そしてそのモデルから得られる便益指標を用いて空港整備事業としてジェット化事業を例にとり利用者便益計測をおこない, 事業の妥当性の検討を行った.
  • タ張-十勝清水間の開通を対象として
    佐々木 恵一, 田村 亨, 桝谷 有三
    2001 年 18 巻 p. 155-161
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    P.Allenは1979年に人口と雇用の空間分布の相互作用に基づいた、中心地の動的なモデルを示した。そのモデルは、中心地理論を用いて地域の人口分布の変動は雇用機会とそれに伴う人口への跳ね返りによって成長する。その結果はシステムの変動が大きな役割を果たす中心地の相互影響の動学モデルである。また、長期の時間スケールの中で公共事業の影響を予測できる。
    本研究では、夕張-厚真間の高規格道路整備がもたらす人口分布への影響を分析した。
  • 大谷 博, 高橋 啓一, 近藤 光男, 廣瀬 義伸
    2001 年 18 巻 p. 163-172
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、高齢者介護に関する地域的な需要と供給のアンバランスを解消するための施設配置の方法について検討を行った。施設の配置計画においては、地域の介護需要、介護施設を分析し、介護施設の立地要因に利用者から施設までの移動時間に加えて待ち時間を用いることとした。利用者は移動時間と待ち時間を考慮して所要時間のより少ない施設を選択すると考え、徳島市を対象地域として、移動時間が最も小さくなるような施設配置、移動時間と待ち時間の合計が最も小さくなるような施設配置を試算した。その結果、後者の方が前者よりも利用者の行動をより細かく反映できており、効率性と公平性の両面からみても、より良い計画案が提案できた。
  • 塚井 誠人, 奥村 誠
    2001 年 18 巻 p. 173-179
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 筆者らが提案した業務における交通と通信の代替・補完関係を考慮した, 地域間情報交流量モデルを多時点のデータに対して適用し, 情報交流活動の経年的変化の分析を行った. 1990年代に地域間の通信コストは0.5-0.2倍にまで急激に下がっているものの地域間の通信量に伸びは認められなかった. モデルを用いた分析の結果, 交通コストや企業組織の地域間のつながり, 距離, 従業人口積等の説明変数の推定値は経年的に変化せず, 地域間の情報交流の発生に安定的に影響を及ぼしていることが明らかとなった. さらに, 都市の中枢性が情報交流の発生量に与える影響は経年的に弱くなり, これは通信量が増加しない一つの原因とであると考えられる.
  • 新潟県でのケーススタディ
    松本 昌二, 村田 俊雄, 宮腰 和弘
    2001 年 18 巻 p. 181-186
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、新潟県をケーススタディとして、大規模小売店舗法 (大店法) による需給調整、大型店の立地、それによる商圏や地域構造の変化等を分析する。次に、大型店周辺の交通実態、住環境の評価、周辺住民の意識を把握する。大店法のもとで出店した大型店について、需給調整、環境影響、地域づくりの3つの視点からアプローチすることにより、2000年6月より施行された大規模小売店舗立地法 (大店立地法) とその運用にかかわる課題を検討する。県内市町村の多くで、1990年代に郊外大型店の出店が一段と活発になり、小売業の大型店占有率が極めて高くなった。中心地区 (中心商店街) 側はその変化に対応できなかったため、中心市街地の空洞化、衰退を招いた。大型店周辺の住環境は、静けさが悪化した、自動車交通量が増えたと評価されており、大型店出店に際して周辺環境アセスメントを行うことは十分な妥当性を持っている。
  • 立花 潤三, 春名 攻
    2001 年 18 巻 p. 187-194
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/08/24
    ジャーナル フリー
    近年、地球規模での資源保全、環境負荷の問題やごみ埋立地の切迫した確保難を背景とした、廃棄物処理にかんする動きはますます活発化してきており、我が国においては廃棄物処理システムのあるべき方向を模索しているのが現状である。また、より良い廃棄物処理システムの検討を行うためには廃棄物処理問題を生産→消費→排出→処理 (リサイクル) の各段階すべてを捉え、さらに政策面、経済面および産業面、教育面にまで視野に入れた幅広い範囲での総合的な検討が必要である。これらを背景とし本研究では、廃棄物処理システム計画を効果的かつ合理的に行うため、その構想計画段階における検討ツールとして、総合的かつ多面的な検討の実現をめざした廃棄物処理システム計画モデルの開発及び現実レベルでのモデル分析を行うこととした。
  • 関 達也, 森本 章倫, 古池 弘隆
    2001 年 18 巻 p. 195-200
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では、商業系・業務系の大規模開発に匹敵する連続した住宅開発が、都市内の交通流にどの程度の負荷をどの部分に与えるかを、交通流シミュレーションモデルを用いて、広域な対象エリアを設定し分析した。その結果、従来の影響評価においては開発の影響は近隣交差点または地区という概念であったが、大規模都市開発は、周辺道路の交通量を増大させる一方で、開発地区の新たな発生交通の影響により現況の車両の流れそのものを変化させることがわかった。また交通流が、複雑多岐にわたる道路網により不安定な状態にある場合、ある1地区の開発が近隣部のみならず広い範囲に影響を及ぼすことを示せた。
  • 平山 洋祐, 榛澤 芳雄, 小山 茂, 村山 正州
    2001 年 18 巻 p. 201-206
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    東京都千代田区では、夜間人口 (定住人口) の回復、開発の進まなかった狭い裏通りに面した敷地の建て替え促進を目的に、1995 (平成7) 年に創設された「街並み誘導型地区計画」の導入を進めている。本論文は、東京都千代田区神田和泉町地区・四番町地区・六番町奇数番地地区を対象に、壁面後退量の変化に伴う地区内の敷地面積・床面積・各交通手段の空間的占有度・街路の整備水準・歩行者サービス水準等の変化を把握するシミュレーションを構築した。その結果から、各地区における望ましい壁面後退量の提案を行った。
  • 石丸 裕史, 西村 昂, 山本 勝彦
    2001 年 18 巻 p. 207-212
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年の環境問題の中でも、都市の熱環境は様々な規模で問題を引き起こしている。これは、都市化の進展に伴い、地表面のコンクリート化の進行、緑の減少など都市構造の変化や、人工廃熱の増加などにより、ヒートアイランド現象が出現することが要因となっている。本研究では、都市の熱環境を広域的に評価するために、LANDSAT-TMデータの一つである地表`面温度データを用い、都市全体の熱環境の実態を把握し、さらに地表面温度と密接に関係する土地利用や各種都市活動指標を用いて詳細に分析を行った結果、地表面温度を算出するモデル式を作成し、そのモデル式から緩和対策の効果の可能性を検討した。
  • 渡辺 義則, 許斐 敬史, 伊東 啓太郎, 隈 清悟, 曽我 佳世
    2001 年 18 巻 p. 213-221
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    車道部端に設置した低い壁に開口部が存在することに起因する減音量の低下と、それに伴う対策としての有効性の程度を道路近傍について検討し、以下の結果を得た。
    (1) 行路差と壁の開口幅が大きくなると、また、壁の長さが短くなると、減音量の低下は大きい。また、壁の中央に行くほど、減音量の低下は小さくなる。なお、開口部の減音量の低下は、壁の端のそれと殆ど差はない。
    (2) 都市部幹線道路・B地域において環境基準への適合対策として有効か否かを、歩道端の地表面から1.2mの所で検討した結果、壁の長さが20m以上あれば、開口幅が6mあっても、高さ1.3rnの壁で、壁の端と壁の開口部で3.3dB、壁から3mの所で5.3dBの減音量となり、前者で28%、後者で37%ほど全時間帯で環境基準へ適合する割合が増加する。
  • 川除 隆広, 多々納 裕一, 岡田 憲夫
    2001 年 18 巻 p. 223-230
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 社会基盤整備プロジェクトの経済評価のリスク分析として, 費用便益分析の代表的評価指標である純現在価値および費用便益比を基にしたプロジェクト採択のリスク分析法の開発を目的としたものである. 具体的には, リスク分析が純現在価値を代表指標として評価可能であることを示し, 純現在価値の信頼区間推定法およびプロジェクト採択が妥当視される確率として純現在価値の採択基準を満たすプロジェクト採択確率を求める分析法を提示している. 仮想プロジェクトおよび既往データを基にした試算からは, 社会基盤整備プロジェクトの経済評価として, 費用と便益の推計精度を考慮したリスク分析の有用性を肯定する結果が得られている.
  • 加藤 博和
    2001 年 18 巻 p. 231-237
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    既往の交通起源環境負荷推計手法の大多数は、もともと開発されていた交通需要推計手法の援用であると言える。そこで本稿では逆に、環境負荷推計を行う立場から道路交通データや需要推計手法にいかなる課題が存在するかについて整理することを目的とする。まず、道路交通に起因する環境負荷の推計に関する既往の手法を整理し、その特徴と適用範囲を論じている。さらに、各手法における問題点と今後の対応について、特に1) 環境負荷総量把握における問題、2) 走行状況の指標として平均旅行速度を用いることによる問題、3) 交通流シミュレーションを用いる場合の問題、の3点を中心に、試算を交えながら検討を加えている。
  • 片田 敏孝, 児玉 真
    2001 年 18 巻 p. 239-244
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    噴火時において, やむなく避難生活を続ける住民の心理においては, 生活再建に関する不安意識や心身の疲労などの要因により帰宅したいという意識が強くなり, その一方で, 噴火災害に対する危機意識や避難の必要性に対する意識は低下していくものと考えられる. 本研究では, 過去の噴火災害を事例とした住民の心理変化, 噴火想定時における避難や帰宅などの行動意向の特性を把握することを目的とした. 分析の結果, 噴火災害に対する楽観的な認識や生活復興に対する不安意識などは, 避難の躊躇や早い段階での帰宅意向を示す要因となること等が明らかとなった.
  • 小林 一郎, 菊池 良介, 橋本 淳也, 星野 裕司, 高口 友久
    2001 年 18 巻 p. 245-254
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    災害時における防災機関の対応は非常に重要である。想定以上の災害が襲ってきた場合は被害が発生し、災害に対してハード対策だけでは限界があり、ソフト対策の重要性が増してきている。行政機関においては、災害に対して素早く、かつ的確に対応するための体制づくりが必要不可欠となる。国土交通省では、今までに災害時の危機管理対応強化を目的とした模擬訓練を実施している。本稿では、危機管理について説明し、危機管理模擬訓練システムの必要性を述べる。また、新しい訓練システムを構築するための手引きとして訓練構築手法を作成する
  • 宮田 譲, 李 愛軍
    2001 年 18 巻 p. 255-266
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    国連によってその概念が提示された環境・経済統合勘定は, 環境水準を含めた一国の真の経済的豊かさを表す統計概念として, 世界中に着実に普及しつつある。現在その推計方法に力点が置かれているようではあるが, 環境悪化の推計には概念的にも曖昧な部分が散見される。環境悪化の評価は, その悪化水準を元に戻す費用, もしくは悪化させない回避費用をもって, 計測するとされている。しかし人工的にも自然的にも再生不可能な環境財については, これら2種類による計測結果は異なるのは明らかである。
    したがって, 理論的側面から環境・経済統合勘定の推計方法や, その経済学的含意を明確にしておく必要がある。この方面の研究としてはMalerによる研究が特筆される。彼の研究は経済を動学的に捉え, その社会的最適化問題から整合的に環境・経済統合勘定を導き出している。すなわち動学的最適化問題に現れるHamiltonianを国民純福祉指標と見なし, 環境・経済統合勘定をごく自然に導出するという考え方である。
    本研究はMälerの定式化を踏まえながらも, 2種からなる生態系を社会的最適成長モデルに導入し, 社会的純福祉指標, 環境・経済統合勘定の導出を試みる。さらに生態系ダイナミクスに対し, そこに働く変分原理を明らかにし, Legendre変換を通して得られる生態系Hamiltonianを用いて, 生態系評価の新たな方法論と生態系保全戦略を提案する。
  • 神谷 大介, 萩原 良巳
    2001 年 18 巻 p. 267-273
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では防災・減災のための環境創成の一環として都市域の自然的空間に着目した。まず空間特性によって階層的に空間を分類し、ハザードマップを用いて新たに空間が必要な地区を明らかにした。次に、日常的に空間がどのように使われているかを実態調査によって明らかにし、階層毎の違いを示した。そして階層毎の利用者心理と現状の整備内容の関係について共分散構造分析を行い、自然の豊かな空間にすることの重要性を示した。最後に日常時と震災時の両方を考え、どこにどのような空間を整備することが必要であるかを示した。
  • 横松 宗太, 小林 潔司, 田中 一央
    2001 年 18 巻 p. 275-286
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では地方政府による分権的防災投資により達成される地域間リスク配分の効率性に関して分析する. その際, 地域間人口移動による財政的外部性が存在する場合, 分権的防災投資では社会的最適なリスク配分が達成できないことを示す. さらに, 効率的な地域間リスク配分を達成するためには, 分権的な防災投資だけでなく, 中央政府による地域間財政移転制度を併用することが必要であることを示す.
  • 庄司 靖章, 多々納 裕一, 岡田 憲夫
    2001 年 18 巻 p. 287-296
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 災害による被害として資本と道路の損傷を取り上げ, 災害リスク下の2地域一般均衡モデルを構築し,(1) 災害による被害の短期的な波及構造、(2) 事前になされた防災投資による災害リスクの変化の長期的効果を産業構造や均衡パターンの違いに着目して分析した. その結果, 両地域の産業構造や交易パターンによっては, 防災投資は混雑等集積の不経済を生じ長期的には必ずしも均衡効用水準を改善しないが、このような場合でも地域の連関性が高く防災投資の地域間波及効果が大きい場合には均衡効用水準を改善しうることを示した。
  • 南 正昭, 日高 康晴, 林 達也
    2001 年 18 巻 p. 297-304
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    密集市街地では, 震災に伴い街路に閉塞が発生し, 救急交通や避難交通等の緊急の交通に支障を生じる可能性が高い. 本研究では, 宇部市の密集市街地を対象に, 街路閉塞要因について現地調査に基づいたデータベースを作成し, 街路閉塞の発生や孤立地区の発生をシミュレートすることで, 閉塞が通行に及ぼす影響を評価する技法を開発した. 閉塞に至る条件設定を仮定することで, 閉塞発生時に保持される街路網のネットワーク構造を導き, 密集市街地全体への通行の確保について評価できることを示した. また個別の閉塞要因がもたらす通行への影響を評価するとともに, それらに対する補修・補強等の施策により, 閉塞発生時に到達が不可能となる建築物数を減少する様子を具体的に評価できることを示した.
  • 森杉 壽芳, 齋藤 雅樹, 林山 泰久
    2001 年 18 巻 p. 305-310
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 表明選好法を用いて除雪の便益評価と最適除雪水準に関する考察する. 具体的には, 一対比較形式のアンケートを行い, ロジット・モデルを用いて便益を算出する.特に, 従来考慮されることのなかった自動車運転者の快適性や定時性に焦点をあてた.その結果, 積雪時においては時間短縮効果よりも定時性の確保の方が意識に昇ることがわかった. また, 晴れよりも雪というように運転環境が厳しくなるほど, 便益評価値が高くなる傾向があることが判明した. さらに, 様々な除雪水準について総便益を計算し, 費用を勘案して最適除雪水準について考察したところ, ほぼ現状の除雪水準が最適であることが示された.
  • 奥村 誠, 塚井 誠人, 下荒磯 司
    2001 年 18 巻 p. 311-316
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は, 災害情報の認知と避難行動に着目し, 形式の異なる災害情報が住民の避難行動に及ぼす影響および, 避難勧告の信頼性の変化の2点について分析を行った.
    災害情報と住民の避難行動の分析から, 雨量等の事実情報から住民が被災の危険を理解することは難しく, 避難勧告, 主観確率が積極的な避難行動に強く結びついていることが明らかとなった.
    避難勧告への信頼性の変化の分析からは, 主観確率の更新には, 避難勧告の有無よりも, 被害の有無による影響が大きいことが明らかとなった.現実に住民が最も多く直面する状況が避難勧告の「空振り」であるため, 誤報による避難勧告への信頼性の低下が起こることが明らかとなった.
  • 梶谷 義雄, 多々納 裕一, 岡田 憲夫
    2001 年 18 巻 p. 317-324
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 兵庫県南部地震で被災した神戸港貨物取扱量を対象に, 災害の事後評価段階における統計学的なアプローチの有効性について検討を行っている. その際, 震災によるショックのために生じる非線形性の強い過渡的な状態を含む時系列から, システマティックに長期的影響を分析する仮説検定の方法を提案している. 実際に輸出貨物取扱量には長期的に残存する震災の影響に加え, 視覚的には判断しがたい確定的な減少傾向が震災後に生じていることをこの手法を用いて発見している. 同時に災害後に取られた政策の有効性を震災の影響を分離して評価する方法を提案しており, 輸出, トランシップ貨物を対象にその有用性が議論されている.
  • 小池 則満, 宇治 和幸, 秀島 栄三, 山本 幸司, 深井 俊英
    2001 年 18 巻 p. 325-330
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では震災時における傷病者の移動について文献レビューを行い、その問題点を指摘するとともに、医療機関ポテンシャルを定義して来院傷病者数の予測手法を提案した。本モデル式ではロジスティック曲線を基本に、距離、医療機関の魅力度、道路閉塞の有無を考慮している。これを兵庫県西宮市に適用して高い現実妥当性を確認するとともに、傷病者が特定の医療機関へ集中するのは、医療機関のロケーションに問題があること、高架構造物の落下による交通の寸断が原因とは一概にはいえないことを明らかにし、地域防災計画に対していくつかの提言を行った。
  • 東京都江東区の運河を事例として
    猪股 弘樹, 横内 憲久, 岡田 智秀
    2001 年 18 巻 p. 331-338
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年の運河は、画一的な空間整備によって、その利用パターンが形骸化するなどの批判がある。こうした状況を踏まえ、本研究では東京都江東区の運河を対象とし、江戸時代から現在にいたる「行政の運河計画」と「運河と市民とのかかわり」から、「運河の特性」とその特性を成り立たせる「空間構成」を明らかにすることを目的に、文献調査・ヒアリング調査を行った。その結果これまでの運河整備は、周辺の空間状況 (地域性) によらず「緑化」と「遊歩道」に限定した水域内のみの施策であることを指摘した。そして、今後整備を行う際のデザインボキャブラリーとして、9つの「運河の特性」と、7種の「空間構成」(「運河の格」) を明らかにした。
  • 星野 裕司, 萩原 健志, 小林 一郎
    2001 年 18 巻 p. 339-348
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、事象を含めた景観を考察するためには、事象の想起とそれへの参画を主要な機構とする場所論的把握が必要であると考え、そのモデル化のための1つのサンプルとして明治期につくられた沿岸砲台から得られる眺望景観に着目した。九州内の3要塞 (下関・佐世保・長崎) を対象に、各砲台から得られる眺望景観を事象パターンの相違に着目し、4パターンに分類した。それらのパターンに対して、場所論的な考察を行い、現在公園化が進んでいない「疾走型」、「斜行型」は、観察者・事象・眺めの関係の中で何れかに不備があり、公園化の進んでいる「擦過型」、「周流型」は、事象の想起あるいは参画の何れかが優れていることを明らかとした。
  • 深堀 清隆, 窪田 陽一, 白濱 美香, ホーウェン ユエ
    2001 年 18 巻 p. 349-358
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究はランドマークの都市空間における場所を定位させる力についてビジュアルアンカーの概念によって説明を試み、どのような状況でそれが最も発揮されるかを明らかにする。空間定位の観測は被験者に提示したランドマークの写真がどこで撮影されたかを地図上にプロットしてもらい、真の撮影地点との距離と方位 (角度) について3種類の誤差を測定する。この誤差についてランドマークの見え方 (形態、全体構図、周辺の視覚的要素との関係) がどのように影響するかを分析する。これらの成果はランドマークの存在を中心とした都市空間のわかりやすさはどのような都市計画的構成によって得られるのかという問題を検討する上で有益と思われる。
  • 北九州市の公園緑地を対象として
    宮脇 優, 伊東 啓太郎, 仲間 浩一
    2001 年 18 巻 p. 359-362
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    生物生息空間としての公園緑地計画のありかたを検討することは重要な課題である。本研究では、都市における生物生息空間の核となる可能性を有する10ha以上の公園緑地について、面積、形状、形態、植物群落数、緑被率、斜面傾斜の6つの要素でポテンシャル評価を行った。結果として公園緑地の面積と群落数との間に相関が認められた。また、形態指数を用いて面積と形状を同時に評価し、妥当性が認められた。
  • 永井 英樹, 山中 英生, 山口 行一, 三谷 哲雄
    2001 年 18 巻 p. 363-370
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、VRML (Virtual Reality Modeling Language) を景観シミュレーションに応用した場合に重要となる操作性を検証した。空間情報量と操作性評価の関連の分析からは、フレームレイト、平均移動速度、迂回率から操作性の良し悪しとなる目安を見つけだし、植生表現によるVRMLの写実性の評価からは、能動視に問題ない範囲で樹木の写実性と臨場感を増すことが可能であることが分かった。更に高低差のある空間での評価におけるVRMLの有効性について分析からは、高低差に関する空間評価にはVRMLが有効であるということが確認できた。
  • 渡辺 仁, 窪田 陽一, 深堀 清隆
    2001 年 18 巻 p. 371-379
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年河川空間を利用したレクリエーションは増加傾向にあり、河川水面における船舶の利用が注目を集めている。本研究は船舶利用に適した場所を見出すために、河川空間の持つ利用ポテンシャルを定量化することを目的としている。これによって環境保全を重視すべき領域、また船舶利用のための拠点整備に適した場所、環境保全と利用が共存可能な場所を見出すことができる。まず河川環境の評価項目の選定を行い、評価関数を定義することにより、河川空間を数量化するシステムを構築した。さらに多摩川の実際のデータを用いて評価を実施し考察を行った。
  • 田中 尚人, 川崎 雅史
    2001 年 18 巻 p. 381-386
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、近代化という価値観の変革期に琵琶湖疏水を基盤として成立したアメニティ空間として京都東山の岡崎地区を取り上げた。本研究の目的は、歴史的な文献・資料等を用い、琵琶湖疏水が水辺のアメニティを形成してきたことを実証し、その具体的手法と歴史的経緯を明らかにすることである。岡崎地区において琵琶湖疏水は、1.水辺によるオープンスペースの確保と街区形成、2.遊船による水辺の活用、3.電気軌道による都市的な集客、4.「近代」を象徴する水辺デザイン等の形で直接・間接に都市形成に寄与し、岡崎地区を都市文化中枢として機能させ、人々が都市的なアメニティを享受することを可能にした。
  • 出村 嘉史, 川崎 雅史, 田中 尚人
    2001 年 18 巻 p. 387-394
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、絵図や文献などの歴史的資料の分析やヒアリング調査、現地の観察をもとに、近世円山界隈に存在した時宗寺院の空間構成を明らかにした。急傾斜である長楽寺では幾つかの平場を立体的に組み合わせて構成され、平場間の起伏が豊かな場所に庭園を造った。次に傾斜の大きい安養寺では、敷地内に起伏を持つ塔頭が立体的に組み合わせられ、建築と庭の多様な位置関係が視線の多様性を産み出した。そして緩傾斜の双林寺では平面上に並んだ塔頭で構成され、立体的な空間構成を造る為に築山や借景が用いられた。このように豊かにつくられた空間では、後に席貸が行われ、飲食、宴席が積極的に行われ文化的交流の場として利用された。
  • 菊地 竜也, 石黒 一彦, 稲村 肇, 石倉 智樹
    2001 年 18 巻 p. 395-402
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    建設産業では, 需要情報の非共有状態やリードタイムの存在が主な原因で起こるブルウィップ効果の影響によりサプライチェーンの所々で過大な在庫が生じている一方で, SCMは進んでいない. よって, 建設産業でのSCMによる在庫削減の定量的評価を目的とし, 在庫理論にブルウイップ効果の理論を組み込むことで, ゼネコン主導型のサプライチェーンにおける在庫管理モデルを構築した. シミュレーションではSCM導入により在庫量を現状の30%以上削減できることを示し, 建設産業におけるSCMの有用性を示すことができた.
  • 相浦 宣徳, 佐藤 馨一, 唐澤 豊, 嘉松 孝友
    2001 年 18 巻 p. 403-408
    発行日: 2001/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は、輸・配送経路探索の最適化によりロジスティクス全体の効率化を狙うものであり、輸・配送計画支援ツールの心臓部といえる輸送経路の探索ロジックに着目し、より効率的でかつ現実的な解を得る探索ロジックを構築、提案することを目的としている。具体的には、巡回セールスマンn人M都市問題に対するGAの適応を基本とし、さらなる効率化の実現を狙い、現存する “輸・配送計画支援ソフト” 等に幅広く用いられているSaving手法のGAへの組込みを提案し、評価するものである。
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