2004 年 21 巻 p. 225-232
わが国の都市は, 経済停滞, 人口減少, 少子高齢化, 政府の財源不足, 中心市街地の衰退, 地球環境問題の深刻化, 自動車の過度な利用による環境問題など様々な問題に直面している. このような問題を緩和するために, 長期的にはコンパクトな都市構造を実現することが求められている. しかしながら, どの程度のコンパクトさが望ましいのか, いかなる政策によって実現可能かについては, その分析手法は開発されていない. そこで, 本研究では, 武藤・上田ら (2000) の開発したCUEモデルを用いて, 最適な都市内人口分布及びその実現政策を求めるための手法を開発した. また, その計算方法として戦略交通モデルの計算アルゴリズムとして開発されたFowkesesらによる方法を一部変更して用いた. 最後に, この手法を名古屋都市圏に適用し, 所得補助政策によって実現することが可能な最適な都市内人口分布を求め, モデルの適用可能性を確認した.