2004 年 21 巻 p. 83-89
幹線旅客の流動データには純流動データと総流動データがある。純流動データは真の出発地・目的地をとらえたデータであり、交通需要分析を行うのに有効であるが、アンケートデータを要するため調査コストが高額でサンプリング誤差が大きい。一方、総流動データは販売チケット情報を利用して機械的に集計される上、サンプリング誤差は小さい。本研究では都市間交通の総流動のデータから、都道府県間の純流動を逆推定する手法を提案した。経路選択パラメータを先決値として与え、純流動の分布交通量モデルとして重力モデルを仮定して総流動と純流動の関係を定式化した上で、総流動の観灘直と推定値の誤差が最小になるように純流動の重力モデルのパラメータを推定した。1995年のデータを用いて逆推定したところ、再現性の高いモデルが構築されたまた、同モデルを1970年に適用したところ、北日本一西日本のような遠距離の純流動は極めて少なかったという結果が得られた。