2005 年 22 巻 p. 195-202
本研究では、社会資本整備の意思決定プロセスにおける市民参加に関して、制度的背景が比較的日本と似ていると言われるフランスの制度とその運用、特に公開討論の最新動向について紹介するとともに、社会背景や関連する社会制度、国民性の違い等を踏まえた上で我が国の市民参加の課題と今後の方向性について検討を行った。その結果、フランスの市民参加では合意形成を目的としていないこと、最終的には意思決定者が合理性の観点から、責任を持って決定を下すこと、決定の客観性を高めるため、第三者がチェックすること等の特徴が明らかとなった。今後は習慣や文化、価値観等の違いを考慮し、日本にあった方法を構築していくことが重要な課題となる