抄録
近世城下町以来の都市基盤を持つ岐阜市は, 近代都市形成において電気軌道網がその骨格を成した. 本研究は電気軌道網による都市形成過程を検証し, 今後の都市計画, 都市施設整備, 公共施策に活かすことを目的とする. 史料から電気軌道網の敷設経緯, 都市形成を整理した上で代表的な都市施設の立地の傾向や展開から都市活動について分析を行った. さらに岐阜市内4駅を対象にケーススタディを行い, 空間利用や景観の変遷から駅空間が都市形成に及ぼした影響について考察した. 結論として, 近代岐阜市においては電気軌道網が駅空間を軸に都市と有機的に結びつき, 都市の魅力を生み出し回遊性を担保して都市活動を支えてきたことが分かった.