2006 年 23 巻 p. 903-910
朝の通勤混雑解消のためのTDM施策の1つとして, 企業の始業時刻を分散させる時差出勤制の導入がしばしば議論されてきた. しかし, 始業時刻が分散すると, 企業間の相互取引機会が減少し, 社会的に生産性が低下する可能性がある. そこで, 本稿では企業と家計の相互作用を考慮した時刻選択モデルを構築し, 両者の時刻選択行動から定まる均衡パターンを求めた. この結果, 1) 複数の均衡パターンが存在すること, 2) 混雑料金を賦課できない場合には始業時刻が分散した均衡パターンが望ましいこと, 3) 混雑料金を賦課できる場合には始業時刻が集中する均衡パターンが望ましいこと, が明らかになった.