抄録
本研究では, 水害による被災家計の精神的被害を共分散構造モデルとCVMを用いて計測する方法論を提案した. 被災家計の心の内部で発生する観測されない精神的不快感を構成概念として定量的に示すとともに, 構成概念を効用関数の説明変数として明示的に取り上げることにより, 水害により被災家計が被った精神的被害を計量化した. 負の地方公共財としてとらえた水害の発生に対する精神的被害の発生構造を, 被災家計によるストレスの生産構造としてとらえ, 共分散構造モデルにおける構成概念によって表現した. さらに, 以上の方法論の有効性を豊岡地区で発生した水害を対象として実証的に検証した.