本稿では、施設立地や交通ネットワークを考慮した広域災害時のシミュレーションモデルを構築し、静岡市を対象としたケーススタディを行い、救急搬送や医療機関での情報やトリアージの有無で表現される指揮命令系統による効果を分析し、救急医療搬送システムを検証した。本シミュレーションモデルは、医療機関や道路等の施設の空間的な整備状況を入力情報として、医療搬送や救急医療搬送システムを評価することが可能となっている。シミュレーション結果から、救急医療搬送や医療機関での処置時間短縮における情報共有の重要性や、トリアージによる時間ロスを短縮するための情報共有の重要性等が明らかになった。