2008 年 25 巻 p. 155-164
本研究では建設市場における仕様発注契約, 性能発注契約ゲームを定式化し, 発注形態が請負業者の新技術導入に対するインセンティブやモラルハザードに対する誘因に及ぼす影響を分析した. その結果, 性能発注は, 工事ごとに異なる技術的ニーズとそれに最も応える請負業者をマッチングさせるメカニズムを有していることを理論的に明らかにした. さらに, 請負業者の技術開発が促進されることも明らかになった. また, 性能試験が信頼性を犠牲にした過度な建設コスト削減に対する請負業者のモラルハザードを阻止する役割を指摘した.