抄録
多くの都市・交通問題が,戦略的補完性による非効率性に起因している場合が少なくない.このような戦略的補完性による非効率性を克服するためには,さまざまな主体が新しい試みを果敢に挑戦することが重要である.本稿では,このような新しい試みを関係する主体に動機づけるような都市・交通政策を起業的アプローチと位置づけるとともに,その担い手としてのボランタリー組織に期待される役割と課題について,いくつかの試行的な考え方を展開する.具体的には,行政・市民パートナーシップを醸成するための課題として,アカウンタビリティ,正統性,信頼の問題について考察する.さらに,地域住民の学習過程の重要性と,そのためのアプローチを示す.