抄録
本研究では,上水道管路施設の予防的保全政策を検討する問題をとりあげる.上水道管路は埋設施設であり,劣化状態を直接観測することは困難である.管路施設に損傷が発生すれば,道路や周辺施設の損壊,交通サービスの遮断をもたらし,多大な社会的損失が発生する.老朽化した管路の破損事故を未然に防ぐために,経年的に老朽化した管路施設を予防的に取替えることが必要となる.本研究では,期待ライフサイクル費用の最小化を目的とした最適取替えモデルを提案した.さらに,現実の管路施設が敷設時点が異なる多様なタイプの管路で構成されていることに考慮し,管路タイプの最適スィッチング政策について分析した.最後に,大阪市の上水道管路の保全問題をとりあげ,本研究で提案したモデルの有効性を実証的に検証した.