2009 年 26 巻 p. 325-332
本稿では、アンケート調査により茨城県日立市における自主防犯活動の実態把握を行い、自主防犯組織の概要を明らかにしたうえで、数量化理論II類分析により犯罪リスクの低い組織の特徴を分析した結果、継続的活動による犯罪リスク低減の可能性が示された。さらに、因子分析より組織の抱える問題点や意識構造を明らかにし、組織の運営維持のためのあり方について考察した結果、組織運営上の問題点に対する意識の高さは犯罪率の高さに寄与しないことから、正しい犯罪情報を提供することで問題意識の低減が期待されることを示した。また、自主防犯組織の推進に伴う要望増加は問題意識の低減により対処可能であると考察した。