抄録
本稿では,旅行時間変動の経済的価値付けに関して,特に行動モデル関連の研究を対象として研究動向のレビューを行うと共に,プロジェクト評価への実適用に向けた関連課題の包括的な整理を行った.レビューにおいては,代表的アプローチである平均-分散アプローチ,並びに,スケジューリングアプローチの特徴と実適用上の課題を整理し,旅行時間変動価値の推計事例を整理した.さらに両者を統合した新たなアプローチの実適用可能性についても概説した.次に,旅行時間変動の将来予測やSP調査における行動経済学的観点の必要性など,価値付けに関連する諸課題についても包括的な整理を行った.