2010 年 27 巻 p. 951-960
本論文は、福祉有償運送に着目し、対価設定、赤字発生要因、利用者の支払意思額を調査し、事業の持続性について検討をおこなった。対価設定は、タクシーの対価の1/2よりも、低く設定されている。一方、利用者の支払意思額は、ほぼ対価と同額の金額であった。つまり、福祉有償運送の赤字額を事業者が吸収してしまっている。このような状況から福祉有償運送事業の持続性を高めるためには、高所得者には、運行対価を上げるなど、個人の経済状況に合わせた福祉有償運送の対価設定などが求められる。また、タクシー業界との連携、公的な支援の必要性である。