日本世代間交流学会誌
Online ISSN : 2758-5905
Print ISSN : 2185-7946
祖父母にみる戦時体験の語りと世代間交流
雑誌『世代間交流-老いも若きも子供も-』の記述内容を分析して
井上 恵子草野 篤子
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 3 巻 1 号 p. 49-58

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抄録
世代間の断絶や分離が家庭や地域で生じている。とりわけ超高齢化と少子化がもたらした生活と意 識の変化は家族や地域の形成にも影響を与え続けている。本論考では世代の中でも戦前を知る祖父母と戦後生まれの孫を対象として、「命」のつながりの中で何が共有構築され、とりわけ孫世代には何が生み出されたのかを『世代間交流ー老いも若きも子供も一』 (第1号~7号)を分析することにより明らかにする。同誌は信州大学教育学部付属教育実践総合センター内において、隔離した世代と世代を結びつけるために創設した「世代間交流プロジェクト」 (代表 角尾篤子)により2000(平成12)年から2007(平成19)年まで機関紙として発行された。  この中で信州大学の学生達は祖父母との対話を試みた。そして祖父母の語りから戦争とその時代の教育の実態を知り、社会、教育とその方法、教師像まで幅広く考察を加えた。こうした試みから歴史の真実を見る目を養い、発達資産の形成やそれを取り巻く家族や地域、さらには平和についても考慮できたことに世代間交流の効果と意義がある。
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© 2013 日本世代間交流学会
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