日本世代間交流学会誌
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3 巻, 1 号
日本世代間交流学会誌
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 高橋 知也
    2013 年 3 巻 1 号 p. 03-10
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、今後の世代間交流プログラムを含む共生教育の実践の一助とすべく、 社会規範尺度(GALLOIS et al. 1999) およびそれを翻訳して作成された孝行行動尺度 (豊島ほか 2011) を参考 に、「青年期前期における敬老志向性尺度」の開発とその検討を行うことを目的とした。 神奈川県横浜市内のA中学校に在籍する生徒190名 (男子88名、女子102名) を調査対象者として自記式の質問紙調査を依頼し、 得られたデータの因子分析 (主因子法 プロマックス回転)を行い、最終的に2因子18項目を採択した。 信頼性を示すクロンバックの係数は、尺度全体でα=.80、下位尺度では「敬老態度」でα=.85、「敬老行動」でα=.64 と、いずれについても一定の信頼性を示した。 また妥当性についても内容的妥当性のほか、基準関連妥当性も一定の水準で確認され、新たに開発した尺度が実際の使用に耐えるものであることを示したといえる。
  • 内田 勇人, 藤原 佳典, 西垣 利男, 香川 雅春, 江口 善章, 藤井 明美, 吉田 隆三, 作田 はるみ, 木宮 高代, 濱口 郁枝, ...
    2013 年 3 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、高齢者による自然体験活動支援プログラムが児童養護施設入所児童の高齢者イメ ージに及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。研究参加者として、兵庫県A市のA児童養護施設に入所する小学校4年生から6年生までの児童14名(男子8名、女子6名。11.1 ±0.9歳、以下入所児童)、対照群としてA小学校5・6年生 116 名 (男子 60 名、女子 56名。11.4±0.6 歳) を選んだ。 高齢者は同市に在住し、4年間にわたる小学生への教育支援活動経験を有する男性2名(72歳と77歳)であった。調査は2011年11月に実施された。プログラムの前後で入所児童における高齢者イメージ得点を比較したところ、プログラム後に「強い」「やさしい」 「頼りがいがある」の各得点が有意に高くなっていた。高齢者による自然体験活動支援プログラムの実施が参加した入所児童の高齢者イメージを向上させる可能性が示唆された。
  • 多様な高齢者との世代間交流プログラムにむけての支援策の提言
    野中 久美子, 大場 宏美, 倉岡 正高, 安永 正史, 村山 陽, 竹内 瑠美, 藤原 佳典
    2013 年 3 巻 1 号 p. 19-33
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、加齢に伴う身体・認知機能の衰えや健康課題を持ちつつボランティア活動を行う高齢者ボランティアが活動を継続できる、または引退する要因を探索的に検討し、ボランティア活動を継続するための支援のあり方を提言することである。そのために健康課題を持ちつつ地域の子どもへの絵本読み聞かせ活動を行う高齢者ボランティア10名とそれらの高齢者ボランティアの受け入れ小学校・幼稚園・保育園の教職員13名を対象にインタビュー調査を実施した。その結果、受け入れ施設は、子どもたちが高齢者ボランティアと継続的に交流することにより、“老い”の過程と多様な状態の高齢者への関わり方を学ぶことを期待していた。一方、 健康課題を持つ高齢者ボランティアの活動継続は、高齢者ボランティア自身のボランティア観、“老い”の受容度合い、およびボランティア仲間からの支援に影響を受けていた。
  • 性差に着目した検討
    田渕 恵, 三浦 麻子, 中川 威, 権藤 恭之
    2013 年 3 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、中年期以降の心理発達課題である世代性と、次世代との関わり行動との因果関係を明らかにすることを目的とした。 因果分析を行うため、 1年間のスパンを設けた2時点パネル調査を行った。 対象者は高齢者400名(男性244 名、女性156名) であり、 平均年齢は 71.92歳 (SD=12.03) であった。交差遅れ効果モデルにおける多母集団同時分析を行った結果、男性では世代性と行動の双方向からのパスが有意となる循環モデルが示された。一方女性では、行動から世代性へのパスのみが有意となった。男女ともに次世代との関わり行動から世代性への影響が示されたことから、世代間交流行動の機会を作ることで世代性発達を促進しうるという可能性、そして世代性の発達が世代間交流行動の効果として位置づけられうる可能性が示された。
  • 村山 陽, 藤原 佳典, 福島 富士子
    2013 年 3 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、地域高齢者の世代間交流型地域活動への参加とソーシャル・キャピタルとの関連について検証した。調査対象者は千葉県A市在住の高齢者(60歳以上)130 名であった。世代間交流型地域活動 (①学校支援ボランティア、 ②高齢者介護ボランティア、 ③育児支援ボランティア、④お祭りの手伝い、⑤伝統継承活動) への参加経験の有無別 (参加あり群/参加なし群)に、ソーシャル・キャピタルの各変数(世代別のネットワーク、規範、信頼) の得点差をウィルコクスンの順位和検定により検証した。その結果、「参加なし群」よりも「参加あり群」において、全ての活動で世代別ネットワーク得点が有意に高く、一部の活動では信頼得点および規範得点が有意に高いことが示された。こうしたことから、世代間交流型地域活動への参加が、地域全体のソーシャル・キャピタルの醸成につながる可能性が示された。
  • 雑誌『世代間交流-老いも若きも子供も-』の記述内容を分析して
    井上 恵子, 草野 篤子
    2013 年 3 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/17
    ジャーナル オープンアクセス
    世代間の断絶や分離が家庭や地域で生じている。とりわけ超高齢化と少子化がもたらした生活と意 識の変化は家族や地域の形成にも影響を与え続けている。本論考では世代の中でも戦前を知る祖父母と戦後生まれの孫を対象として、「命」のつながりの中で何が共有構築され、とりわけ孫世代には何が生み出されたのかを『世代間交流ー老いも若きも子供も一』 (第1号~7号)を分析することにより明らかにする。同誌は信州大学教育学部付属教育実践総合センター内において、隔離した世代と世代を結びつけるために創設した「世代間交流プロジェクト」 (代表 角尾篤子)により2000(平成12)年から2007(平成19)年まで機関紙として発行された。  この中で信州大学の学生達は祖父母との対話を試みた。そして祖父母の語りから戦争とその時代の教育の実態を知り、社会、教育とその方法、教師像まで幅広く考察を加えた。こうした試みから歴史の真実を見る目を養い、発達資産の形成やそれを取り巻く家族や地域、さらには平和についても考慮できたことに世代間交流の効果と意義がある。
  • 大場 宏美, 藤原 佳典, 村山 陽, 野中 久美子, 安永 正史, 倉岡 正高, 竹内 瑠美
    2013 年 3 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、「Hopkins Generativity Index」(全 27 項目) を参考に、わが国の世代間交流プログラムを評価できる日本語短縮版 generativity 尺度を開発することを目的とした。予備調査において、日本語版を作成した。クロンバックのα係数は、すべての因子で 0.85 以上の値が示された。次に、構成概念毎に因子分析 (主因子法、 プロマックス回転) を行い、因子負荷量が若干低い項目を除外し4項目4尺度(全16項目)の短縮版を作成した。  4項目4尺度の短縮版を用いて、本調査を実施した。対象は、滋賀県長浜市の地域高齢者3,000名とし、無作為郵送調査を行った。有効回答数2092票(M:1114、 F:878)、平均年齢 71.8歳 (±7.6)であった。探索的因子分析を行った結果、本尺度の適合度は良好であった(GFI=0.933、 AGFI=0.904 RMSEA=0.075)。さらに、既存尺度との併存妥当性を確認した。  本研究において、日本語短縮版 generativity 尺度 (全16項目)を作成した。 今後は、本尺度の信頼性・妥当性のさらなる検討を行い、 高齢者による世代間交流プログラムの評価指標と 成り得るか検証していくことが必要である。
  • 保育者を目指す学生の学びを中心に
    矢野 真, 田爪 宏二, 吉津 晶子
    2013 年 3 巻 1 号 p. 67-76
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、保育者養成におけるクロス・トレーニング・プログラムの実践で行われた「型取り」による造形活動の実践事例を取り上げ、「保育士の専門性」を持った保育者を目指す学生の学びについて、造形の視点から検討を行うものである。その学びの効果に関する検証として、学生の活動に対する行動観察と実習記録における自由記述の質的な分析を通して、以下の点が導出された。  「型取り」の造形活動を通して、「造形 (表現) 技術」、「子どもへの援助技術」、「高齢者への援助技術」、「子ども一高齢者間のかかわりに対する援助技術」について、 学生の学びがみられた。 特に、 「高齢者への援助技術」を獲得することができ、この結果は、これまでの乳幼児への援助を中心とし また実習経験の中では体験できなかったことであり、今回の高齢者とのかかわりが学生にとって新たな 学びにつながった。
  • ネイチャーゲーム:フィールドビンゴの項目および実習記録の分析をもとに
    溝邊 和成, 吉津 晶子
    2013 年 3 巻 1 号 p. 77-86
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、保育士養成課程の学生が幼老統合施設でクロストレーニング実習プログラムの一環として実施したネイチャーゲームの指導において、どのような学びが見られたかを報告するものである。調査対象は、プログラムに参加した保育士希望学生8名であった。実習記録および作成されたカード等の分析および考察により、「身体の一部の名称を使って表現する」「多様な感覚を用いる」「幼児・高齢者の経験や知識を活用する」等の項目作成にかかわる選択基 準が見出された。また「作業速度の違いへの配慮」「コミュニケーションの促進」等ゲーム実施上の留意点が確認された。
  • 高齢者の生涯学習の視座から
    安永 正史, 草野 篤子, 藤原 佳典
    2013 年 3 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では、絵本の読み聞かせを世代間交流のツールとして用いるREPRINTS研究を取り上げ、世代間交流を始めるうえでの検討事項を取り上げた。 絵本の読み聞かせは、わが国において高齢者によるボランティア活動を小学校に定期的・継続的に導入する上で、 高齢者と子どもの双方にとって魅力的で柔軟性と内容の多彩さを特色として有している。 その一方で、様々な限界を有するツールである。今後の展望として、対象年齢の拡大の可能性について現在進行中の取り組みを紹介した。
  • ビデオ感想文に使われた呼称に着目して
    小池 高史, 村山 陽, 倉岡 正高, 藤原 佳典
    2013 年 3 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では、 滋賀県近江八幡市の中学校で実施されている中学生への認知症サポーター養成講座である「認知症啓発授業」を取り上げた。 認知症啓発授業の前後に質問紙調査を行い、認知症に関する知識について質問した。 また、ビデオ感想文の中で使われている認知症高齢者の呼称を一般呼称と特定呼称に分類した。 一般呼称を使っている生徒と使っていない生徒で、認知症知識得点に違いがみられるかを比較検討した。一般呼称を用いて感想文を書いた生徒は、用 いなかった生徒よりも認知症に関する知識を多く習得していた。生徒たちは、 認知症啓発授業で個別の事例を紹介されても、そこから認知症一般に関する知識を学んでいるのだと考える。
  • 支援ボランティアと医療関係者との連携
    栗山 昭子, 山田 理恵子
    2013 年 3 巻 1 号 p. 99-103
    発行日: 2013/05/31
    公開日: 2023/05/18
    ジャーナル オープンアクセス
    小児科は厳しい財政事情にあり、遊びの専門家を雇用できる病院は希少である。折しも団塊の世代は子どもも巣立ち第二の生きがいを探している。そこで患児の心の安定に寄与できる高齢者ボランティアを養成しようという目的で2011年広報あしやに患児のための遊び・ 学び支援をする高齢者ボランティア養成講座の募集を行った。養成を終え、現在4か所の病院にボランティアとして月に1~3回、 それぞれ3人前後のボランティアがボランティアコーディネーターとともに定期的に活躍している。 徐々に子どもや職員から楽しみにされるようになっている。 活動報告から病院ボランティアの現状と課題を考察する。
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