抄録
本研究は、首都圏に居住する単身世帯の中高年者の近隣との世代間交流の必要性の認識について、同居世帯の中高年者との比較から検討した。50歳から 79歳までのモニタ 1200 人を調査対象者とし、オンライン・アンケート調査を行った。 近隣との世代間交流の必要性を「とても感じる」 「少し感じる」と回答した 600 名の中で、 その理由について得られた自由記述を分類したところ、 18個のカテゴリーが抽出され、その中でも 「災害時や緊急時の助け合い」 が上位に挙げられた。 次いで Fisher の直接確率検定により、近隣との世代間交流の必要性の世帯群差を検討したところ、 単身世帯では同居世帯に比べて「孤立防止」の割合が高いものの、総体的にみると少数であることが示された。この結果から、 中高年単身者のニーズに合致した 「災害時や緊急時の助け合い」をテーマにした世代間交流プログラムをきっかけとして、地域の世代を超えた関係づくりを進めることが有用であると思われる。