抄録
舗装の支持力評価のための非破壊試験法としてFWDが世界的に注目されているが, 規格が確定しないままいろいろなタイプのFWD試験装置が開発されてきたため, ピーク荷重はほぼ同じ値であっても, たわみ量や舗装の推定弾性係数が公正に評価できないのではないかという可能性が指摘されている. 本研究は, 1台のFWD (Phoenix Road International社製) を用い, 衝撃ピーク荷重がほぼ5tfとなるように重錘の質量, 落下高さ, ゴムバッファーの種類をいろいろに変化させ, FWDによるたわみ測定を行った. そして, これらが測定たわみおよび逆解析によって推定された舗装の層弾性係数に及ぼす影響を調べた.
1台のFWDを用い, 本研究で得られた成果は以下のとおりである.
1.重錘の質量が小さい程, すなわち落下高さが大きいほど, 載荷力率が小さい.
2.載荷力率とたわみ量は, 強い正の相関がある. 単位載荷力率当たりのたわみ量の変動は, およそ, 載荷中心で10μm, 載荷中心から600mm離れた点で7μm, 1500mm離れた点で3μmであり, 荷重載荷点に近いほど載荷力率の違いがたわみに与える影響が大きい.
3. 載荷力率が大きいほど各層の弾性係数が小さい値を示す. 載荷力率が1kgf・s違えば, 路床の弾性係数は3~5%変動する.