ペット栄養学会誌
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原著論文
年齢別イヌT細胞のインスリン刺激に対する幼若可反応ならびにサイトカイン遺伝子発現解析
藤原 めぐみ大塚 浩通米澤 智洋西田 幹海老沢 崇史金井 一享堀 泰智岡野 昇三上地 正実及川 正明
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2009 年 12 巻 2 号 p. 75-80

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抄録

年齢にともないイヌの免疫機能が低下するため、高齢犬では感染症や腫瘍性疾患などを発症しやすいと考えられている。インスリンはT細胞を活性化させる効果があるが、インスリンの分泌や感受性は高齢動物で低下するため、加齢とともにインスリン刺激によるT細胞の活性効果が低下する可能性がある。 我々は、インスリン添加によるイヌのリンパ球反応を調査し、年齢との関連について検討した。44頭の健康なビーグル犬を用い、1 から3 歳までを1 群、4 から7 歳までを2 群、8 から12歳までを3 群として区分した。コンカナバリンA(ConA)によってリンパ球を刺激培養し、リンパ球幼若化反応およびreal time PCR法によるIL-4ならびにIFN-γmRNAの発現量を解析・比較した。3 群のインスリン加ConA刺激におけるリンパ球幼若化反応は1 群および2 群に比べ低く、2 群と3群の間には有意な差が認められた。インスリン加ConA刺激によるIL-4mRNA発現量は全ての群でConA単独に比べ高かった。また、3 群のインスリン添加によるIL-4mRNA発現量は、1 群に比べて有意に高かった。このことから健康なイヌでは、インスリン刺激によるT細胞のサイトカイン産生効果が異なるものと考えられた。

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© 2009 日本ペット栄養学会
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