ペット栄養学会誌
Online ISSN : 2185-7601
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研究報告
イヌのタンパク配合率の異なる食餌が薬物代謝酵素
チトクロームP450 2D活性に及ぼす影響
志賀 俊紀鈴木 あゆみ福永 航也朝見 恭裕石井 珠理藤井 洋子折戸 謙介
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2010 年 13 巻 Suppl 号 p. Suppl_31-Suppl_32

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抄録

イヌの心疾患や腎疾患の治療は薬物療法だけでなく、心臓や腎臓の負荷を軽減するためタンパク配合率を変更した食餌療法も併用することで一定の治療成績を収めている。食餌療法が薬物代謝酵素に影響を与えることが報告されているにもかかわらず、食餌中のタンパク配合率の違いがイヌの薬物代謝酵素に影響を与えるか否かは研究されていない。そこで本研究ではビーグル犬にタンパク配合率の異なる食餌を11日間与え、薬物代謝酵素チトクロームP450 (CYP) 2D活性に及ぼす影響を調査した。主にCYP2Dで代謝されるプロプラノロールを投与し、その血中濃度を測定することでCYP2D活性を評価した。高タンパク食および低タンパク食を与えた場合、普通食に比べてプロプラノロールの薬物血中濃度―時間曲線下面積はそれぞれ低下および上昇し、クリアランスはそれぞれ上昇および低下した。本結果より、タンパク配合率の異なる食餌はCYP2D活性に影響を及ぼすことが示唆された。

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© 2010 日本ペット栄養学会
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