ペット栄養学会誌
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原著論文
アミノ酸に対するビーグル犬の行動応答解析
佐伯 香織柴野 梓宮西 玲子井上 一歩津田 薫山口 ゆうき笹本 唯衣吉田 達行左向 敏紀古田 洋樹
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2014 年 17 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

マウスやラットでは、苦味物質である塩酸キニーネ (QHCl) と甘味・うま味物質の混合溶液の選択飲水法によって嗜好性に対する行動応答が調査されている。本研究ではビーグル犬に対し、甘味・うま味を呈するアミノ酸を用いた選択飲水試験を行い、両者の行動応答を検討した。試験は 12 時間絶水後に行い、1 mM QHCl単独溶液と、1 mM QHCl と 10 mM、100 mM および 500 mM の各アミノ酸 (グリシン、スレオニン、アラニン、プロリン、セリン、グルタミン酸ナトリウム) 混合溶液を同時に 20 分間呈示し、選択飲水を行った。グリシン混合溶液の飲水量はそれぞれ9.0 g、18.0 g、118.0 g (10 mM、100 mM、500 mM の順;以下同様)、スレオニンは 0 g、50.7 g、80.7 g であり、濃度依存的に増加した。また、アラニン混合溶液の飲水量は 14.7 g、55.5 g、41.5 g、プロリン混合溶液は 41.2 g、34.8 g、39.2 g、セリン混合溶液は 30.2 g、22.8 g、67.0 g、グルタミン酸ナトリウム混合溶液は 17.7 g、134.8 g、8.17 gであった。これらの結果はすべて QHCl 単独溶液と比較して上昇しており、苦味物質に対する忌避行動が各アミノ酸により緩和されている可能性が考えられた。このことからビーグル犬はアミノ酸の持つ甘味・うま味を感受していることが明らかとなり、さらに、アミノ酸の種類によって感受する濃度帯が異なることから、嗜好性調査には濃度設定が重要な要因であることが示唆された。

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© 2014 日本ペット栄養学会
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