ペット栄養学会誌
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原著論文
ウサギのメチオニンとトレオニン要求量に対する食糞行動の寄与
安部 佑美佐子田 嘉明後藤 尚也池田 周平祐森 誠司
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2014 年 17 巻 1 号 p. 6-12

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抄録

本試験はウサギのメチオニン、トレオニン要求量を確認すると共に、食糞行動によってこれらアミノ酸が供給される量と要求量に対する割合の推定を目的とした。これらアミノ酸の要求量の推定は、食糞行動を阻止した条件下での摂取アミノ酸量と血漿遊離アミノ酸濃度の相対に基づいて行った。18頭の日本白色種家兎を6頭ずつ3区に配分した。ウサギは単飼ケージに収容した。試験飼料はCPレベルが12、14、16%を含むように調製した。各CPレベルの飼料に高メチオニン・低トレオニン飼料と低メチオニン・高トレオニン飼料を調製し、これらを4:0、3:1、2:2、1:3、0:4 の比率で混合することで各CPレベルにメチオニンとトレオニンの含有量が異なる飼料を5種類調製した。各飼料は切り替え後4日間給与し、最終日の午後に耳翼辺縁静脈から採血した。この工程を5回繰り返した。軟糞は20日間の試験飼育期間を通じて全区から採取し、混合した。血漿中および軟糞中のメチオニン、トレオニン濃度は高速アミノ酸分析器で測定した。3段階のCPレベルにおいて、血漿中のメチオニンは当初摂取不足を示す低濃度(基準濃度)を示したが、その後それぞれ直線的に増加し、基準濃度を示すベースラインと増加直線との交点である要求量は各々、0.15(CP12%)、0.23(CP14%)、0.23(CP16%)g/日と推定された。同様にトレオニンの要求量は0.21、0.42、0.51g/日と推定された。軟糞から供給される両アミノ酸の要求量に対する比率はメチオニンでは15-30%、トレオニンは18-52%となった。よって、メチオニンとトレオニンはそれぞれの要求量に対して食糞行動によって供給される割合が高いことが示唆された。

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© 2014 日本ペット栄養学会
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