2014 年 17 巻 1 号 p. 19-25
運動療法は、インスリン感受性を改善し、骨格筋へのブドウ糖取り込みを増加させることから、糖尿病患者において有用な治療法である。本研究では、糖尿病犬に対する運動療法が血液生化学パラメーターおよび骨格筋遺伝子発現にどのような影響を及ぼすかを検討した。空腹時血糖値は運動前後で有意な変動は認められなかった。しかし、糖化アルブミン(GA)および遊離脂肪酸は運動後有意に低下した。インスリンシグナリングおよび糖代謝に関連する遺伝子(インスリンレセプター基質1および2、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ、aktキナーゼ2、グルコーストランスポーター4、AMP活性化プロテインキナーゼ、脱共益蛋白3およびアセチルCoAカルボキシラーゼ)の発現には運動前後で有意な変化は認められなかった。本実験結果より、運動療法を行うことでGAの低下をもたらし、糖尿病犬において血糖コントロールが改善された。