2017 年 20 巻 1 号 p. 22-29
糖尿病患者において、運動療法は食事療法や薬物療法と併用し実施する治療法の一つである。しかし、1型糖尿病患者においては、運動時間帯や食事の栄養組成によっては、低血糖など二次的弊害を引き起こす危険性がある。そこで本研究では、糖尿病犬に食物繊維量の異なるフードを給与し、運動開始時間の違いおよびフード内の食物繊維量が運動時の血糖変動に及ぼす影響を明らかとすることを目的とした。結果より、食事給与6時間後の運動実施では、血糖値が急激に低下した。しかし、食物繊維の多い食事を与えると血糖値の急激な低下がわずかに抑制された。食事給与10時間後の運動実施においては、運動後の血糖値の低下はほぼ認められず、またフード内の食物繊維量が増加しても、運動時の血糖値に大きな変動を認めないことが明らかとなった。本研究より、食物繊維の量に関係なく血糖値の急激な低下を伴わない運動開始時間は、食事給与10時間後であることがわかった。