2020 年 23 巻 2 号 p. 59-67
ヒトの医学領域および多くの哺乳動物において、食事中の栄養素(特に炭水化物と脂肪)がグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)やグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)といったインクレチン分泌を促進することが知られている。さらにヒトでは2つの異なる脂肪源(飽和脂肪酸を多く含むラードと不飽和脂肪酸を多く含む大豆油)によってインクレチンの分泌量が変化することが報告された。 本研究では、食事中の異なる脂肪源(ラードおよび大豆油)が健常猫のGIP、GLP-1分泌、そして血糖値、インスリン、中性脂肪、NEFAにどのような影響を及ぼすのかを検討した。低脂肪食であるbasal食と、ラードと大豆油の2種の脂肪をbasal食に加えた高脂肪食を、それぞれ14日間ずつ給与した。結果として高脂肪食給与下ではGIP分泌とNEFA濃度が有意に上昇した。しかし、GLP-1分泌および血糖値やインスリン、TG濃度に有意差は認められなかった。また、異なる脂肪源は猫のGIP分泌に大きな影響は与えない可能性が示唆された。