ペット栄養学会誌
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イヌ・ネコの腸内細菌による共役リノール酸の生成
二宮 紀子福田 真嗣浅沼 成人日野 常男
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2002 年 5 巻 Supplement 号 p. 35-36

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抄録

イヌ・ネコの糞便をリノール酸(LA)の存在下で培養した実験により,腸内細菌によって共役リノール酸(CLA)が生成されることが明らかとなった。生成された種々のCLA異性体の定量および同定を行ったところ,CLAの中で最も生理活性が高いとされているcis-9,trans-11オクタデカジエン酸の生成量が最も多かった。LAの水素添加反応による主な生成物としてtrans-バクセン酸が同定された。糞中混合微生物によるLAの水素添加反応の経時変化を調べたところ,CLAは一旦蓄積した後,時間と共に減少した。糞中にはトリアシルグリセロール(TG) やリン脂質(PL)よりも遊離脂肪酸(FFA)の方が多く含まれていた。また,TGおよびPLは糞中混合微生物により水解され,FFAが生成された。従って,食餌や胆汁由来のTGやPLにLAが多く含まれていれば,大腸内でのCLA生成が増加すると考えられた。

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