抄録
健康な成ネコ12頭(平均体重4.0 kg)を3 区に分けて用い,ドライキャットフードの蛋白質源としてのチキンミール(CM),ミートミール(MM),コーングルテンミール(CGM)の価値を1期3週間の3×3ラテン方格法により比較した。実験食の乾物含量は約94%,乾物当たりの粗蛋白質(CP)含量は約31%で,C M,M M,C G M 由来のC P は全CPの80%以上を占めた。実験食と飲水は全期間不断給与した。各期最終7日間の糞と尿を全量採取し,消化率,水分出納,窒素(N)出納,ミネラル(Ca,P,Mg)出納,および尿中N化合物(尿素,アンモニア,クレアチンおよびクレアチニン)濃度等を測定した。摂食量,飲水量,尿量には差がなかったが,糞量と糞水分含量はCGM区で増加した(P<0.05)。乾物消化率はCGM<CM<MMの順に増加し,CP消化率はMM区が他の2区より高かった(P<0.05)。水分出納では糞中水分排泄量についてのみCGM区が他の2区より多かった(P<0.05) 。3種類のCP源中CGMは最も乾物消化率が低く,そのため糞乾物量が増加したのに伴い糞中水分排泄が増加したと考えられた。摂取Nの吸収割合はMM区において他の2区より高く(P<0.05),CM区における摂取Nまたは吸収Nの利用性は,最高のMM区と最低のCGM区の中間に位置した。さらに,尿全N中のアンモニアNの割合はCM区とCGM区がMM区より高く(P< 0.05),クレアチニンN の割合はCGM<CM<MM区の順で増加した。CaとMgの利用性には区間で差がなかったが,Pの利用性はCM区で低い傾向があった。