抄録
イヌの腸管内での共役リノール酸(CLA) の生成を増加させるため,CLA生成能の高いButyrivibrio fibrisolvensとBifidobaeterium breveをプロバイオティクスとして併用することの利点を検討した。B. fibrisolvensはCLAを速やかに還元したために,CLAの蓄積は少なかった。B. breveはCLAを還元しなかったために,CLAが蓄積したが,菌の増殖が停止した。両菌を共培養したところ,C L A が蓄積し,B. breveの増殖阻止も緩和された。老齢イヌの糞中微生物混合系に総菌数のほぼ1%となるようにB.breveとB.fibrisolvens(10:1)を添加したところ,CLA の生成・蓄積が増大した。従って,2 菌を併用すれば,菌の増殖阻止を緩和しつつ,腸管内でのCLAの生成量および蓄積時間を持続的に増加させ得ると思われた。