抄録
イヌにおけるタバコ副流煙曝露による酸化ストレス度の変動,および抗酸化サプリメントの有用性について検討した。副流煙を充満させた部屋内に健常なビーグル犬を繋留し30分間副流煙に曝露したところ,酸化ストレス度は曝露後有意に上昇した。一方,獣医用療法食を給餌した動物に対して,同様の曝露実験を行った場合には,酸化ストレス度の上昇は認められなかった。次に,ビタミンC,ビタミンE,カロテン,コエンザイムQ10を併せて,あるいはイヌ用に開発されたマルチビタミンミネラルサプリメントを,1日1回,2週間摂取させた後,同様の曝露実験を行ったところ,いずれの場合も酸化ストレス度の上昇は認められなかった。以上の結果から,副流煙曝露がイヌに対して酸化傷害を与えること,その酸化傷害を抑制するために,抗酸化物を多く含む餌の給餌や抗酸化物を含むサプリメントの供与が有用であることが示唆された。