抄録
機能性ディスペプシア(FD)は器質的疾患がないのに胃が痛い,胃がもたれるなどのディスペプシア症状を慢性的に訴える疾患である。FD患者ではストレスなどの外部からの刺激を契機として症状を発現することが特徴であり,ストレスに対する個体の応答性の異常がその病態の本質である可能性がある。この疾患に対する薬物治療の効果は大きくなく,その治療指針はいまだ十分に確立されてはいないが,この疾患の病態から考えると,心療内科的治療は有効である可能性が高い。FDのように頻度の高い機能性消化管疾患の治療を介して,臨床医に心療内科的考えや治療法を啓発していくこと,これがこの疾患に対して今後消化器心身医学が進むべき方向ではないかと思える。