抄録
enteric glial cell(EGC)は,消化管神経細胞と共にenteric nervous system(ENS)を構成し,消化管機能に重要な役割を果たしている。しかし,全身ストレス負荷に対する消化管応答として,EGCに与えられる影響については不明である。そこで本研究では,8週齢のWistar系雄性ラットに対して,水浸疲労ストレスを経時的に負荷し,胃のEGCの発現動態を定量評価し,さらには筋層間神経叢のwhole mount標本にて形態変化について検討した。EGCのマーカーであるglial fibrillary acid protein(GFAP)のmRNAは1時間をピークに増加し,その後時間経過とともに減少した。胃のEGCは,ストレス負荷後では非ストレス負荷状態と比較して形態変化を示すことが判明した。消化管EGCは個体のストレス応答として,その形態的変化を示し,消化管での機能的変化へと繋がる可能性が示唆された。