日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第49回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ヨウシュヤマゴボウ (Phytolacca americana) における2つのDOPA dioxygenase の比較解析
*高橋 加奈高村 恵理作田 正明
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p. 0045

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抄録
高等植物において、赤色の多くはアントシアニンにより発色されている。それに対し、ナデシコ科、ザクロソウ科を除くナデシコ目植物ではアントシアニンは合成されず、その赤色はベタシアニンによって発色されている。我々はナデシコ目植物のベタレイン生合成系に注目し、ベタシアニン生合成酵素であるDOPA dioxygenase (DOD) についてクローニングと解析を行った。
ナデシコ目植物であるヨウシュヤマゴボウ (Phytolacca americana) の培養細胞から、RACE法によりDOD遺伝子のcDNAの単離を試みた。その結果、ヨウシュヤマゴボウには複数のDOD遺伝子が存在することが分かり、今回、2つのDOD遺伝子においてORFを含むcDNAの全長を得た(PaDOD1PaDOD2)。これらPaDOD1とPaDOD2はアミノ酸レベルでおよそ80%の相同性を示した。PaDOD1PaDOD2の発現パターンを解析した結果、培養細胞と植物体において、ベタシアニン蓄積の見られる赤色培養細胞や紅葉だけでなく、白色培養細胞や緑色の葉でも発現が見られた。さらに、これらの遺伝子のシス領域をinverse PCR法を用いて単離したところ、Myb型転写因子やbHLH型転写因子結合部位と思われる配列が見られた。これらの結果をもとに、ヨウシュヤマゴボウにおける複数のDOD遺伝子の発現制御機構と機能についてさらなる解析を進めている。
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© 2008 日本植物生理学会
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