2021 年 60 巻 5 号 p. 272-278
背景 : 硬化性類上皮線維肉腫 (SEF) と低悪性度線維粘液性肉腫 (LGFMS) の hybrid 腫瘍を経験した.
症例 : 50 歳代, 男性. 右腋窩に自覚していた腫瘤が増大傾向を示したため当院を紹介受診, 腫瘤摘出術が施行された. 切除標本割面の擦過細胞診では Giemsa 染色で異染性を示す粘液様物質を背景に, 紡錘形・類円形核の異型細胞が粘液様無構造物質を取り囲むように出現していた. 集塊内の細胞密度は高くなく, 核分裂像も認められなかった. 特徴的な細胞所見を捉えられず組織型の推定にはいたらなかったが, 良性あるいは低悪性度の間葉系腫瘍を考えた. 組織診では異型の乏しい核と微細な長い好酸性線維性細胞質をもつ長紡錘形細胞が束状に増殖し, それらは粗密配列を示していた. また, 硬化した膠原線維を背景に類円形細胞が上皮様に増殖する領域もみられた. 免疫組織化学染色は MUC4 陽性で, “hybrid” SEF/LGFMS と診断された.
結論 : LGFMS の細胞像の報告例は少ないが, 本例では組織像を反映した細胞像が得られた. また Giemsa 染色での観察が優れており, 軟部腫瘍においても Giemsa 染色を併用することは有用であると考える.