抄録
症例は26歳女性。X-4年潰瘍性大腸炎(以下UC)を発症,当初寛解を保っていたが,X年1月頃より短期間に再燃を繰り返すようになった。X年6月の再燃時にPSL増量とLCAPで血便は消失し排便回数も減少したが,排便時と排便後の下腹部痛が残存した。腹痛の訴えは強いが内視鏡所見の活動度は高くなく自覚症状と乖離していた。患者は腹痛とUCの再燃を恐れ,過度な不安と回避行動を伴う不安障害を合併していた。治療として,支持的精神療法に加えてSNRIであるデュロキセチンによる薬物療法を行ったところ,腹痛や回避行動は消失し,その後UCも寛解へ向かっていった。UCの治療において,検査所見と自覚症状が乖離している症例では,不安がUCの病態と経過に影響している可能性があり,心身医学的アプローチが重要であると考えられる。