2016 年 23 巻 1 号 p. 10-12
適応障害患者(AD)はストレスとの関連性が明確であり,腹部症状を訴えるADは腹部症状とストレスとの関連性を研究する対象として注目されている。今回われわれは,腹部症状を訴えるADの胃十二指腸運動機能と腹部症状を,体外式超音波(US)と症状質問票を用いて評価した。【対象と方法】腹部症状を訴えて当科を受診したAD7例(男性1例、女性6例;16~41歳,中央値23歳)を対象とし,USを用いた機能検査で近位胃拡張率(AR),胃排出率(GE),前庭部運動能(MI),十二指腸胃逆流(RI)の4つの項目を評価し、GSRS、HADSの質問票を実施した。【結果】7例全員が何らかの機能異常を有し,内訳はARが3例,GEが5例,MIが2例,RIは6例であった。腹部症状は,それぞれの機能異常に合致するものであったが,HADSの異常は見られなかった。【結語】上腹部症状を有するADは運動機能異常を有し,それによる腹部症状が受診の契機となっている。