2025 年 14 巻 1 号 p. 34-51
一般社団法人日本くすりと糖尿病学会が認定する糖尿病薬物療法認定薬剤師(認定薬剤師)や糖尿病薬物療法履修薬剤師(履修薬剤師)をはじめ,学会員は様々な職種と協働で糖尿病治療に通じる患者の支援を行っている.認定制度が創設目的に沿って運用され,臨床や教育に活かされている状況を可視化するため,研究推進委員会は正会員を対象にしたアンケート調査を行い,367名の回答を得た.認定取得前後の比較において,⾃信を持って業務に取り組めるようになった分野として,50%以上の回答が得られたのは,患者,医師,薬剤師への関わりの3つの分野であった.また認定薬剤師は履修薬剤師に比べて,医師,地域医療,学生教育において有意に取り組めていると回答した(p<0.05).自己注射をはじめとする手技指導の分野は,認定取得の有無により有意差が認められたが,関わりの程度は低かった.また,患者への関わりにおいては,認定薬剤師と履修薬剤師の間では有意差が認められなかったが,医療職や学生との関わり,地域連携活動,研究活動では有意差が認められた.本認定制度が糖尿病医療の向上と糖尿病対策の推進に有効であることを明らかにすることができた.