2025 年 14 巻 2 号 p. 153-159
自己注射用製剤としてのマンジャロ®皮下注2.5 mgアテオス®(日本イーライリリー-田辺三菱:MJ-AT)の物理特性を,同じ29G針を用いる他製品と比較検討し,使用感や操作性の観点から評価した.試料と方法は,MJ-ATに組み込まれた注射針,および比較対象としてインスリン用シリンジ マイジェクターTM(テルモ:TM-M),BDロードーズTM(日本ベクトンディッキンソン:BD-L)の各29G針を用い,①針の刃先・基部形状観察,②MJ-ATの注入ボタン押込み負荷,③注射稼働時間,④注射針の強度(変形量),⑤刺通抵抗の5項目を評価した.結果は,MJ-ATの注入ボタン押込み負荷は,機械的補助により一定であったが,意識して注入終了まで押し続ける必要があった.強度は,MJ-AT=TM-M>BD-L(p<0.005)でMJ-ATの強度が確認された.一方,シリコンへの最大刺通抵抗値はTM-M<BD-L<MJ-AT(各p<0.005)であった.MJ-ATの刺針速度は,4,176 mm/secと高速度であった.刺通抵抗は他に比べて大きかったものの,MJ-ATは高速での刺針速度と患者が注射針を見ることなしに自動的に稼働するという機能を有した注入デバイスを使用していることから,患者が感ずる刺針への負担は大きくはないものと推定される.また,注入に関わる操作負担の軽減という点でも使用者に優しい設計が施されており,特に高齢者や注射に不慣れな患者においても注射針が破断しにくいなどの安全面,適正な刺針深度を確保した自己投与が容易な製剤であると考えられる.