くすりと糖尿病
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原著論文
保険薬局薬剤師による糖尿病関連注射薬使用患者に対するサイトローテーション指導と効果検証
郡司 清志羽村 光鶴川 千佐子田上 順隆福山 陽子中村 泰朗橋口 知香浅野 陽香大浦 華代子下川 友香理
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2025 年 14 巻 2 号 p. 139-152

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抄録

インスリンの同一部位への反復皮下注射により皮下硬結が形成される.皮下硬結部位への注射はインスリン吸収を低下させ,血糖変動を引き起こす.皮下硬結の予防には,適切な範囲で注射部位を変更する皮下注射方法(サイトローテーション)が有効である.保険薬局で注射手技を確認した135名の患者のうち63%がサイトローテーションを実施しておらず,25%に皮下硬結の訴えがみられた.サイトローテーション未実施で注射回数が多く,注射製剤の使用歴が長い患者に皮下硬結の訴えが多い傾向が示された.患者はサイトローテーションの知識を有しているものの,注射しやすい部位や穿刺時の痛みが少ない部位を選んで注射する傾向がみられた.薬局薬剤師の半数近くが注射部位の適切な範囲を把握しておらず,薬局薬剤師の指導不足がサイトローテーション未実施の一因と考えられた.薬局薬剤師が腹部の注射範囲を可視化したサイトローテーションの指導資材を用いて定期的に患者に指導した結果,サイトローテーションの実施率は半年後に66%,1年後に91%に上昇した.視覚的資材を用いた定期的な指導は患者のサイトローテーション実施の維持に有効であると期待される.

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© 2025 一般社団法人日本くすりと糖尿病学会
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