2019 年 8 巻 2 号 p. 268-282
本研究では,日本の2型糖尿病患者に対する早期インスリン治療の費用対効果を経口血糖降下薬(OAD)のみの治療との比較により明らかにした.研究は日本の医療環境を想定し,早期にインスリン治療を行った群とOADのみによる治療群の生涯にわたる治療効果と費用を,文献調査による臨床・費用データとUKPDS Outcomeモデルを用いて推計した.その結果,インスリン治療群の生涯医療費は男性で3,095,631円,女性で2,801,185円であった.一方,OADのみの治療群の生涯医療費は男性で3,086,926円,女性で2,782,245円であった.OAD群に比しインスリン群の生存年は男性で0.110年 [95% CI: 0.032–0.189],女性で0.074年[95% CI: 0.017–0.132]の延伸がみられ,治療効果(質調整生存年)は男性で0.059 [95% CI: 0.002–0.204],女性0.087 [95% CI: 0.039–0.135]増加した.早期インスリン治療の生涯医療費は,OADのみの治療に比して,ほぼ同等,生存年は延伸,質調整生存年は増加し,費用対効果に優れることが確認された.