2023 年 20 巻 p. 23-32
【背景】COVID-19の蔓延予防のため,2020年前期は多くの大学で遠隔授業が行われた.緊急事態宣言下における大学生の身体活動の詳細を調査し,身体活動量の変化と心理社会的な要因の関連を明らかにすることを目的とした.【方法】10大学,200名の大学生(男性70名,18.4±0.7歳,女性130名,18.7±2.9歳)を対象に,webによる身体活動量調査(Lifestyle24)を行った.【結果】COVID-19発生前と緊急事態宣言下の平均METsは,それぞれ1.42±0.27METs,1.32±0.19METs(p<.01)で23.8%の有意な減少があった.3METs 以上の身体活動量(METs・h)では,39.8%の有意な減少(p<.01)があった.行動内容別では,COVID-19発生前に比べ外出自粛期間は,睡眠時間が平均で19.9分増え(p<.01),移動時間が平均で56.3分減少(p<.01)していたが,学業およびスポーツに費やす時間では有意差はなかった.スポーツの内容は球技が減少し,自宅で個人でも実施できる種目が多くみられた.新しい友人・知人の人数および熟睡度と4METs以上の身体活動に有意な関連(p<.01)がみられた.【考察】大学生を対象としてwebによる身体活動量調査システムを用いて,COVID-19発生による身体活動量の低下の詳細を示すことができた.感染予防行動と身体活動は,相反すると捉えるのではなく,感染予防をしながら身体活動を促進することが心身の健康維持に求められる.