大学体育スポーツ学研究
Online ISSN : 2434-7957
原著
大学体育におけるこころの準備運動としての「笑い準備運動」の教育効果
藤田 恵理 平工 志穂田中 幸夫
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 20 巻 p. 33-47

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抄録

本研究の目的は,大学体育におけるこころの準備運動としての「笑い準備運動」が大学体育授業の教育効果に与える影響について,体育授業の主観的恩恵評価やコミュニケーション能力の観点から検証することである.2021年10月~12月に大学体育実技授業内で介入調査を行った.授業開始時に通常の準備運動に加えて「笑い準備運動」を実施する授業(介入群)と通常の準備運動を行う授業(対照群)を設定した.両群ともに同一の内容からなる体育実技授業を実施し,「笑い準備運動」が与える影響について気分・感情評価(POMS2短縮版),コミュニケーション・スキル尺度(ENDCOREs),初年次体育授業の主観的恩恵評価尺度(PBS-FYPE)を用いて検討を行った.その結果,「笑い準備運動」を実施した介入群の体育実技後のPOMS2の気分・感情変化は対照群に比べてより大きな改善効果がみられた.ENDCOREsでは,介入群で「表現力」,「関係調整」の2尺度が対照群と比べて有意に改善し,コミュニケーション・スキルの向上が示された.PBS-FYPE下位尺度において,「笑い準備運動」実施の有無による有意な差は見られなかった.大学体育実技での「笑い準備運動」は,コミュニケーション・スキルの向上といった大学体育授業の教育効果を高めることが示唆された.大学体育において「笑い準備運動」をこころの準備運動として活用することは,気分状態の改善やコミュニケーション・スキル向上へのアプローチとして期待できる.

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© 2023 全国大学体育連合

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