運動とスポーツの科学
Online ISSN : 2435-9912
Print ISSN : 1342-1026
Case Reports
Decision-making skills and coaching sequentiality for basketball screening assessed using covariance structure analysis
Akihito YaitaOsamu Aoyagi
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2014 年 20 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

本研究は,バスケットボールのスクリーンプレイの状況判断について,状況判断能力テストの結果を探索的因子分析によってスクリーンプレイの状況判断を規定する包括的な要因を検討し,さらに,抽出された状況判断能力因子の構造から共分散構造分析を用いて状況判断能力の習得の順次性について仮説的構造モデルを作成して検証した。

screenは,その種類,役割,目的によって分類ができると考えられるが,本研究における因子構造は,以下のとおりであった。

1. 種類については,off-ball screenとon-ball screenのそれぞれが抽出された。

2. 役割については,userに関わる因子はoff-ball screenとon-ball screenのそれぞれが抽出されたが,screenerに関わる因子は共通していた。

3. 目的については,off-ball screen userについてのみfor shot playに特化した因子が抽出された。

また,因子に基づいた仮説的構造モデルは,行動形態と難易度における順次性を考慮した「稲垣モデル」,on-ball screenとoff-ball screenをバランスよく指導する順次性を考慮した「Newellモデル」,種類や役割についてそれぞれのプレイの特徴を理解してから次に進む順次性を考慮した「Lambertモデル」,直接的にショットに結びつくプレイの習得は特別な状況であることを考慮した「佐々木・中大路モデル」が考えられた。それらに抽出された因子を当てはめて分析したところ,「off-ball screen userの状況判断」,「ショットに関わるscreenにおけるoff-ball screen userの状況判断」,「screenerに関わる状況判断」,「onball screen userの状況判断」が直列的に並ぶ状況判断の難易度が増す順次性によって指導していく「稲垣モデル」が最も当てはまりの度合いが高いモデルであった。

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© 2014 一般社団法人 日本運動・スポーツ科学学会
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